新型コロナウイルスの感染拡大予防を考えるにあたって、感染症というものの基本を理解してほしいのです。

気ままなコラム

私は感染症の専門家ではないので、感染症や新型コロナウイルスについて、ブログ記事に具体的に書くことはひかえていました。

しかし、私の周りの友達でも、感染症の基本的な知識がないために、ニュースで言っていることを理解していない人も多くいます。
解説すると、「えー!そういうことだったんだ!!」という友達も多いので、この記事を書くことを決めました。

あくまでも、感染症の専門家ではないけれど、看護師としてわかりやすく解説したいということを理解して、読んでいただけると嬉しいです。

「感染」と「発症」は違うのです。

「感染」とは?

ウイルスや細菌などが体内に侵入し、生体内で定着・増殖して寄生の状態になることを「感染」と言います。
「感染」が成立するには、3つの要素があり、「感染」を予防するためには、この3つの要素のどれか1つを除外することが必要です。

「感染」の3つの要素の中で、「①感染源(病原体)」である新型コロナウイルスは、存在してしまっているので除外できません。「③宿主」も私達自身なので、除外できません。
「感染」を予防しようとすると、「②感染経路」をどうにかするしかないのです。

空気感染
病原体を含む飛沫核(飛沫の水分が蒸発した粒子)またはそれが付着した塵埃が空間中に浮遊し、これを吸入することで感染する。

飛沫感染
会話や咳やくしゃみなどによって飛沫(つばやしぶき)が飛び、そこに含まれている病原体を吸入することで感染する。

接触感染
皮膚や粘膜に直接病原体が接触することや、他人の手・ドアノブ・手すり・便座・スイッチ・ボタン・携帯電話などに付着していた病原体に触れた自分の手から体内に侵入する、食品や排泄物などを介して体内に侵入するなど、接触することで感染する。

感染経路は他にもありますが、新型コロナウイルスに関しては、「飛沫感染」と「接触感染」が感染経路としてあげられています。

感染経路を経つためには

「飛沫感染」を予防することを考えると、飛沫が飛ばないようにするとよいので、いわゆる「咳エチケット」と呼ばれているものを徹底することです。(医療機関では、ゴーグルやシールド付マスクを使用するなど、飛沫感染予防策はあります。)

「接触感染」と予防することを考えると、病原体が目に見えるわけではないので、日常生活のなかでは病原体に触れることを防ぐことができません。(医療機関では、使い捨て手袋や使い捨てエプロンを使用するなど、接触感染予防策はあります。)
日常生活のなかでできる接触感染予防は、自分の手に病原体が付いている可能性を考えて、手洗いを徹底することです。
帰宅時に手洗い、飲食前には手洗い、顔を触る前には手洗い、不特定多数の人が触れるものに触れたあとに手洗い、とにかく手洗い。

外出先で携帯電話を触っている場合は、携帯電話にウイルスが付着してしまっていることがあるので、それをそのまま家でも使用すると、また手に付着してしまいます。帰宅時に携帯電話の表面をアルコール製剤で拭く(精密機械なので、厳密に使用しても大丈夫なものかは、メーカーに確認してください)なども、接触感染予防になります。

消毒薬の使用も、接触感染予防になります。
ウイルスや細菌には、有効な薬剤と、有効ではない薬剤があります。
新型コロナウイルスに関しては、2020年4月現在では、「手などの皮膚の消毒を行う場合には、消毒用アルコール(70%)を、物の表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)が有効であることが分かっています」と厚生労働省のホームページ内の「新型コロナウイルスに関するQ&A(医療機関・検査期間の方向け)」に書かれています。

様々な除菌グッズや消毒薬が販売されています。
用途によって、何を選ぶべきかが変わります。
新型コロナウイルスの感染予防のために購入するのであれば、有効性が確認されている手指消毒薬は「70%以上の濃度の消毒用アルコール」ということになりますので、アルコールが含まれていないものや、アルコール濃度が低いものは、有効性は「?」です。
また、「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」は別物です。
「次亜塩素酸ナトリウム」は手指消毒には向きません。手が荒れます。
「次亜塩素酸水」は、2020年4月現在は、有効性が確認されている文書は発見できませんでした。
何のために購入したいのかと、購入した物が、合致していないと、購入した意味がないので、確認しましょうね。

消毒していれば大丈夫というものではないですし、必ず消毒しなければいけないというわけでもないので、とにかく手洗いを徹底しましょう。

「発症」とは?

「感染」した結果、症状が出ることを「発症」と言います。

「若いから軽症で済むから大丈夫」「元気だから感染していない」と言っている人を、よく報道番組で見かけますし、実際にそう言っている人もいましたが、
「感染」してから「発症」するまでに、“症状がないけれど、すでに感染していて、自分がウイルスを体内に持っている状態”があるのです。
「感染」したけれど「発症」しない人もいます。
これは、新型コロナウイルスに限らず、感染症というのは、そういうものです。

つまり、「元気だから」「症状がないから」は、「感染していない」ということとはイコールにならないのです。

新型コロナウイルスに関しては、「感染」してから「発症」するまでの期間が長いとされているので、“症状がないから気付かないうちに、他人に感染させていた”ということも、起こりやすいのです。

「発症」していないだけで「感染」しているかもしれない

新型コロナウイルスに関しては、「感染」してから「発症」するまでの日数が長いことや、「感染」したけれど「発症」しない人も多いということをふまえると、
自分も感染しているかもしれないので、周りの人に感染させないことを考えた行動”が大切になります。

これは、自分が感染しないための対策でもありますが、その場にいる人に感染させないための対策でもあります
3つの条件がそろう場所は、集団感染が起きやすいとされています。
3つの条件がそろわなければいいと思っている人もいたのですが、3つそろうと集団で感染しやすいというだけであって、先述したような飛沫感染の条件を考えると、どれか1つでも感染のリスクは高い状態といえます。

最近は「ソーシャルディスタンシング(社会的距離確保)」という言葉もよく耳にするようになりましたが、「ソーシャルディスタンシング」を知っていますか?
人と人の距離をとることで、感染拡大を防ぐ取り組みです。
国によって、距離は様々ですが、最低でも1メートルから飛沫感染を考えた2メートル程の距離をとることが推奨されてきています。

私が住む北海道でも、北海道知事のTwitterで周知されていました。

“自分が感染しないために”と同時に、“自分の周りの人も感染しないように”という、相手を思いやる行動が大事になります。

最近よく聞く「医療崩壊」

「医療崩壊」を、ただ単に“新型コロナウイルスの患者であふれかえること”だと思っている人も多くいます。
短期間内に、病院のキャパシティーを超えた新型コロナウイルス陽性患者数になることが発端になることではあるのですが、その続きがあります。

例をあげると、

新型コロナウイルス陽性患者は、感染症指定医療機関に搬送されます。
新型コロナウイルス陽性患者で重症の患者はICUでの管理になりますが、同じ空間に、重症化リスクの高い一般の重症患者を入室させるわけにはいきません。
となると、ICUに新型コロナウイルス陽性で重症な患者がいる感染症指定病院では、三次救急患者(重症な救急患者)の受け入れをできなくなります。
それによって、他の三次救急対応病院に患者が集中することになるので、通常以上の患者数を受けることになります。
また、そこに、新型コロナウイルス陽性だという確認はとれていないけれど、結果的に陽性だったという患者が搬送されてきた場合、救急外来で対応した医療職者は、感染してしまうリスクがあります。
三次救急というのは、知識や技術や経験値が必要な現場なので、医師・看護師であれば代わりがきくような場所ではありません。
ICUもまたしかりです。
救急外来やICUの医療職者が感染し、人員不足になると、働き続けられる医療職者への負担が増大しますし、重症患者の受け入れをできなくなります。
そのタイミングで、たまたま交通事故にあったり、たまたま心筋梗塞になったりした場合、受け入れをできる病院を探すことが困難になるので、救急車内でかなり長い時間待たなければならないということにもなりますし、場合によっては、そのまま救命できないということも可能性があります。

感染症指定医療機関だけではベッド数が足りない状況になると、感染症指定病院ではない病院に、新型コロナウイルス対応病棟をつくってベッド数を確保することになります。
新型コロナウイルス陽性患者を受け入れるためには、一般の入院患者と区域を分ける必要があります。
一般の入院患者に感染してしまう可能性があるからです。
新型コロナウイルス陽性患者に対応するための病棟をつくるということは、もともとそこにいた入院患者を他の病棟に移動してもらいます。
そうすると、移動先の病棟では、これまでみてきた患者層とは異なる患者もみることになるので、看護師は働きながら新たな勉強が必要です。そして、移動によって満床になることもあります。
それが長く続くと、普段から前残業や残業がサービス残業になっていることが問題視されている看護師の労働環境ですから、看護師は疲弊してきます。

「医療崩壊」とは、新型コロナウイルス陽性患者数が対応可能ベッド数を上回ることではなく、それによって、本来救命できたはずの患者を救命できなくなったり、本来手術できる患者に手術をできなくなったりと、あなたやあなたの大切な人に直接関係のあることなのです。

「医療崩壊」を防ぐためには、先述したような感染拡大予防策を、国民みんなで取り組むことが大事です。
全員が、自分事に考えて、感染者を増やさないことを徹底しないと、医療崩壊してしまいます。
2020年4月10日現在、現場で働く人の声や、日本医師会の会見、関東圏の医師会からのお知らせ、日本救急医学会と日本臨床救急医学会の共同声明などから、関東圏の医療崩壊の危機はもう目の前に迫っています。

現在は、関東圏での出来事かもしれませんが、今後、各都道府県でも感染拡大した場合に、同じことが起こりうるということは、考えていなければいけません。
まだ感染拡大していない地域の方は、感染拡大させないために、一人一人が感染拡大予防策をとることが重要になります。
刻一刻と状況が変わっていますし、感染拡大状況には地域差がありますので、あなたが住む地域の知事や市町村長の情報は、随時確認していたほうが良いと思います。
他人事だと思わずに、みんながみんなのために、感染拡大を予防しましょう!

厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症について」に、随時情報更新されています。
よくあるお問い合わせについては、Q&Aもあるので、見てみると良いと思います。

感染拡大予防策をそれぞれが行うと同時に、自分自身の体調管理もしっかり行いましょうね。

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