2023年4月14日〜20日に、重症心身障害児(医療的ケア児)とその母親の沖縄旅行に、有償ボランティアとして同行してきました。
事前準備、飛行機利用時の様子、旅行中の様子などは、私が代表を務めるNPO法人あえりあのホームページのブログ記事にて公開していますので、ぜひご覧ください。
この経験を通して、私が学ばせていただいたことや、医療職に伝えたいことは、NPO法人あえりあとしてのメッセージではなく、私個人の考えであるため、こちらのブログに綴ることにしました。
医療的ケア児のお母さんの生活を擬似体験
私は、NPO法人あえりあの代表をしていますが、NPO法人ソルウェイズの重症児デイサービスでも看護師をしています。
NPO法人ソルウェイズは、重症心身障害児のお母さん方が立ち上げた法人であり、デイサービスでも重症心身障害児のお母さん方も働いています。
支援者と利用者家族という立場だけではなく、同僚としても日常生活や付き添い入院の現状をお聞きすることがありますが、今回の旅行は、まさに百聞は一見に如かずの機会となりました。
本当に自分の時間がない!
10時に出発しようとすると、6時起床で自分達の支度をしながらS君の支度をしてバギーに移乗し、7時半に朝食会場へ。
私とお母さんが交代で席を離れてバイキングの朝食を持ってきつつ、S君の注入をしつつ、朝食をとり、9時前には一度部屋に戻り、朝の医療的ケアの続きや身支度を行って、10時にロビーに降りる。
観光から帰ってきて、S君の夜の医療的ケアや寝る準備をしつつ、交代でお風呂に入り、翌日の準備をしたら、あっという間に23時をまわっています。
日常生活に置き換えると、観光の部分が、学校付き添い・家事・仕事・きょうだいの習い事などになります。
話には聞いていましたが、本当に、自分のことをする時間がないです。
外出するには、外出前と外出後の支度が思っていた以上に大変。
そして、夜間や朝方にアラームが鳴って起きることもあり、その後の様子をみている必要があるため、うとうとしつつも眠れない。連続睡眠時間を確保できない。
「これが、365日なのか。きょうだいがいたらさらに大変だ。これは、レスパイトやショートステイなどが、本当に必要だ。」
心から、そう思いました。
医療的ケアを行うお母さんは、専門職ではない
自分の子どもに医療的ケアが必要になったから実施しているのであって、吸引もカフアシストも人工呼吸器も日常的にお母さんが実施していますが、専門職ではないということを忘れてはいけません。
我が子が生命の危機の状態の時に説明を受け、必要に迫られて様々な決断をし、医療職が誰もいない自宅で医療的ケアを行っています。
今回の旅行で、医療安全的に気になる点がいくつかありました。
身体や医療機器の仕組み、気になった理由と正しい方法をお伝えすると、「知らなかった」「言われてみたらそうですね」ということがありましたが、在宅生活中に医療的ケアが追加になっていく場合、その一連の操作方法を医療職が確認する場面がないのかもしれません。
お母さんは専門職ではないので、私たち医療職のように、生理学や解剖整理やフィジカルアセスメントを学んできたわけではありません。
新たな医療的ケアが始まるタイミングでは、もちろん、説明を受けて、所作としては実施できています。
使用し始めて1週間後・1ヶ月後などに、口頭確認ではなく、実際に実施してみてもらって安全に正しい方法で実施できているかを確認する機会を設けてもらいたいと思いました。
(訪問診療や訪問看護の方々、よろしくお願いします。)
生活を考える
私は重症児デイサービスで働いているため、利用児たちの日中の様子しか見ていません。
訪問看護の方は訪問の時間帯の様子しか見ていないし、病棟勤務の方は入院という非日常での様子しか見ていません。
言われなくてもわかっていると思った方もいるかもしれません。
私も、思ってました。
しかし、わかっていませんでした。
きっと、今でもわかっていないです。
私たちが見ていない時間帯のことも考えている風なだけで、無意識に無視しがちだということを、意識していなければいけないなと思いました。
工夫次第でできることがいっぱいある
具体的な方法のシェア
旅行中のSNSでの発信や、zoom報告会で、
「こんな方法でできるんだ、なるほど。」
「こんなにチャレンジできるなんて。」
「自分たちもできるかもと思えました。」
などのリアクションや、
「実は子どもが障害児で」と、具体的な情報を教えてほしいとの連絡ももらいました。
「できる」イメージができないと、「できない」と思ってしまう。
具体的な工夫の方法を写真付きで発信したところ、「できるかも」「やってみたい」「行ってみたい」と思ってもらえる方が多くいました。
発信の大切さを、改めて実感しています。
※今回の沖縄旅行は、情報発信にご協力をいただきたいと申し出たところ、「医療的ケアがあっても旅行ができる、自分たちも行けるかもと思ってくれる方がいてくれたらいいなと思います。」と快く同意していただき、情報発信が実現しています。
協力者を募る
旅行に同行する際の不安材料として、実際に現地を見たことがないので、情報を集めていても、行き当たりばったりで対応しなければいけない事が多いという事があります。
まず、航空会社の選択や飛行機に乗るための準備は、私もSNSで情報を求める投稿を行い、お母さんも特別支援学校で情報を集め、経験者からの情報をもらう事ができました。
知人の中に、沖縄に移住した作業療法士さんがいたので、手伝いに来てもらう事ができました。
そして、重症児デイサービスを検索して複数箇所に問い合わせを行い、情報提供のみではなく、物品貸し出しや手伝いなど、お力を貸していただけるケースもあり、大変助かりました。
NPO法人あえりあのホームページのブログ記事を読んでいただけると、その重要性が伝わると思います。
私だけでは実現できなかった事が、協力者のおかげで、実現したのです。
日頃から、オンライン・オフライン問わず、横のつながりをつくることや、助けてほしい・手伝ってほしいと声をあげることを躊躇しないこと、ご好意には遠慮せずにお言葉に甘えさせていただくことの大切さを感じました。
私自身が旅行の同行を体験したことで、これから旅行に行きたい方や旅行の同行をしたい方に、少しでも情報や体験談をお伝えできたら嬉しいなと思います。
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