「もしバナゲーム」をやってみたよ(^^)ACP(アドバンスケアプランニング)をゲームで話し合える。元気だからこそ人生会議をしよう。

気ままなコラム

「もしバナゲーム」ってなに?

健康な時は、人生の最期をどう過ごしたいかを真剣に考えたことがない人が多いですよね。
家族と、「もしもこんな状態になったらどうしてほしい?」という会話をしたことがない人も多いのではないでしょうか。
考えよう、話し合おうと思うきっかけが、そもそもないと思うんです。

私自身は、新卒でICUに勤めて患者さんやその家族と関わり始めた時に、他人事ではないという恐怖感も覚え、1年目の時に、親に意思確認をしたことがありました。
でも、その現場を目の当たりにしなかったら、その必要性を感じていないまま今を迎えていたと思います。

「もしバナゲーム」は、
余命があと半年と仮定して、カードに書かれている言葉の中から、最期を迎えるにあたって自分が大事にしたいことを手元に残し、優先順位の低いものを捨てていきます。
最終的に手元にあるカードをなぜ選んだのかを、お互いに話します。

「もしバナゲーム」をやってみた

友達たちに声をかけて、7名でやってみました。
看護師 3名
医療職者じゃない人 4名

もしバナカードが2セットあったので、2組に分かれて「ヨシダルール」で実践しました。
ルールはこちらを参照

参加者の感想

★自分が死ぬときのことを考えたことがなかったから、選ぶのが難しかった。(20代女性)

★親と一緒にやりたいと思った。(20代女性)

★最近、祖母が亡くなったので、そのときのことを思い出した。(20代男性)

★20代の頃に父親が亡くなって、いろんな決断をするときに、母親とこういう話をたくさんしてきた。だから自分には大事にしたいということがハッキリある。(30代男性)

★現場を見ているから、どんな状態になると本人が苦しいか、家族が困るのはどんな状況か、ということが想像できるので、そうならないようにしたいと考える傾向にあった。(20代女性・看護師)

選択するカードは、職業による差があった

最終的に手元に残ったカードを、7人全員で見比べてみました。

日本人の特性か、宗教観のカード(「祈る」など)は、誰の手元にものこっていません。

医療職者ではない人の元に残されているカードは、
人との繋がりや、家族に迷惑をかけないためのことがメインでした。

看護師の元に残されているカードは、
自分が望む治療を受けられることや意思決定の支援者がいるカードが、必ず含まれていました。

看護師が、死生観や意思決定について話していると、
医療職者ではない人は、
「死生観という言葉や概念を初めて知った。」
「医者から言われたことには従わなければいけないと思ってしまう。自分の考えを伝えられない。」
という発言がありました。

これは、自身や家族の病気について相談を受けるたびに考えさせられます。

疑問に思ったことは伝えていいし、
言っていることがわからなければ、わかるように説明してほしいと伝えたほうがいいし、
他の選択肢はあるのか聞いてみてもいいし、
自分の意見を伝えてもいいし、
セカンドオピニオンを受けてもいい

自分が大事にしたいことをどうやったら実現できるのか、実現不可能だとしたら近いかたちになる方法はあるのか、医師や看護師に一緒に考えてもらうことができるんですよと話すと、
みなさん驚かれます。

もしバナゲームの結果、医療職者ではない人の手元には、意思決定に関するカードが残らなかったのは、医師に全てを委ねがちな日本の風習が顕著に現れたと感じました。

現場で働いている看護師は、医療職者にお任せではなく、自分や家族の意思を尊重できるかたちで最期を迎えたいという気持ちが強いのでしょう。

「もしバナゲーム」を、ぜひやってみてください。

日常生活を送っていると、自分か死ぬ時のこと、家族や友人が最期を迎える時のことを、リアルに考えることは、少ないと思います。
しかし、その時は、突然やってくるかもしれません。

患者家族と看護師として関わっていると、
「元気なうちに、もしもの時のことを話していればよかった」
「決めなきゃいけないけれど、本人がどうしてほしいのかがわからない」
という戸惑いや後悔を口にする方も多くいらっしゃいます。

「もしバナゲーム」は、お互いの考え方や大事にしたいものを共有できるので、とても良いツールだと感じました。

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