介助犬ファーガス〜外出が億劫だった3年間と、ファーガスとの間に生まれた「信頼」

ボランティア/災害看護

お友達のTさんは、介助犬ファーガスと共に生きています。
Tさんとお話ししていて、「介助犬とは?」「介助犬と一緒に暮らすということとは?」「介助犬が任期を終えたあとの現実」など、初めて知ることばかりで驚きの連続でした。

最初の3年間は、とっても大変

日本補助犬協会で、介助犬として訓練されてTさんのもとにやってきたファーガス。
まずは2ヶ月のお試し期間があり、OKが出て初めてTさんの介助犬になれます。

介助犬になったといっても、ファーガスも介助犬初心者、Tさんも介助犬ユーザー初心者。
たくさんの壁を共に乗り越えてきました。

失敗を見せることはダメなことだと思っていた。

スーパーで買い物をしていた時の出来事。

Tさんが指示したことを、ファーガスは見事クリア!
Tさんは「できたねー!」「ありがとー!」と目一杯褒めました。
すると、
ファーガスは、しっぽをブンブン ブンブン。
(ファーガスのしっぽ振りは、とても力強いの。笑)
しっぽが当たって、納豆が雪崩を起こしてしまいました。

Tさんは、「褒めるタイミングと褒め方と間違えてしまった。」と話していました。

Tさんは、
「やってしまった!これが介助犬だと思われてしまったらどうしよう。」
と、
知名度の低い「介助犬」のイメージを、自分たちが作っていくことになるので、「失敗を見せてはいけない」と、外出が億劫になっていってしまいました

ファーガスがやってきてから3年間は、このような失敗が続いたり、周りからの「介助犬」としての評価が気になり、外出するたびに不安な気持ちでいました。

今では「人だって失敗するし、介助犬だって失敗する。ロボットじゃないし。いいんだよ、それで。」と、明るく話します。
中途障害を受け入れて力強くいきているように見えるTさんは、様々な困難や壁を娘ちゃん・息子くんやファーガスとともに乗り越えて生きてきたんだなと思うと、彼女たちの生き様を発信したくなりました。
(もちろん、ブログに書くことは了承を得ています。)

ファーガスとの信頼関係を確信した出来事

①自宅の浴室で、溺れかけた。

ファーガスは異変に気付き、2階にいる娘ちゃんを呼びに行きました。

娘ちゃんに助けられて大事には至りませんでしたが、ファーガスが娘ちゃんを呼びに行かなかったら、どうなっていたのかはわからない。

お互いの信頼感が生まれた感じがした瞬間だったそうです。

②トイレで転倒して抜け出せない。

トイレで転倒し、便器と壁の間に入ってしまって、自力では抜け出せなくなってしまいました。
息子くんが帰宅するまで、あと4時間もある。

ファーガスに携帯電話を持ってきてと指示をしても、何度やっても持ってこれない。

「だめか、できないか。」

そう思っていた時に、携帯が鳴り、出かける準備をしていたので鞄の中に携帯電話を入れてしまっていたことに気付きました。

「鞄の中だ!だから持ってこれないのか。このまま耐えるしかない。」と思ったのですが、

なんと、

ファーガスも鞄の中に携帯電話があると気付いたようで、鞄ごと持ってきたんです!

Tさんはとっても驚き、それと同時に、「ファーガスと堂々と歩ける」と確信したそうです。

介助犬との生活

私は、外出先でのTさんとファーガスにしか会ったことがなかったので、先日お宅にお邪魔した時に一番驚いたことは、
介助犬の服を脱いだ瞬間から、お気に入りのぬいぐるみを持ってきて「遊んで遊んで」としっぽを振りながらべったりくっついてきたことでした。

介助犬の服を着たファーガスは、しっかりお仕事モードで役割を果たしていたんだ。

介助犬の服を脱いだファーガスに会って初めて、そのことがわかりました。

“お仕事中の「ほじょ犬」に話しかけてはいけない”の本当の意味

Tさんとお話ししていて、みんなに知ってもらいたいと思ったことがあります。

「ほじょ犬」の服を着ていたりハーネスを付けている状態は、お仕事中。
お仕事中の「ほじょ犬」には、声を掛けたり、食べ物をあたえたりしてはいけないということは、知っている方が多いですよね。
それは、気が散ってしまってユーザーの安全を守れなくなってしまうことがあるからです。

ただ、危険が迫っていると見受けられる時は、ユーザーに声を掛けてください。

Tさんは、「車椅子で膝に荷物を抱えていると、すぐ下の地面が見えない。段差があって介助犬が見逃していた場合、車椅子ごと転んでしまうこともありうるの。そういう時は、声をかけながら車椅子を支えたり、安全な場所に移動させたりはしてほしい。絶対声をかけてはいけないのではなくて、危険だと思った時には助けてほしい。」と話していました。

当事者から話を聞くって、大事なことだなと、改めて思った時間でした。
Tさんとファーガスの新たなチャレンジのお手伝いをすることになったので、「ほじょ犬」「介助犬」について、また情報発信していきますね。
お楽しみに♪

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