2018年9月6日北海道での大規模停電の体験談~病院の自家発電編~

災害看護

補助循環、人工呼吸器、人工透析など、停電が患者の命に直結するような病院は、自家発電装置を備えている場合も多いということは、ご存じの方が多いかと思います。
自家発電って、何時間発電できるか知っていますか?
どのように発電しているか知っていますか?
あなたやご家族が入院している病院は、自家発電があるというだけで安心していませんか?

2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震による大規模停電によって、自家発電設備について勘違いしていたと気付いたこと、新たに知ったことが、たくさんありました。
医療電場で働いている私も知らなかったことばかりだったので、普段医療現場と関わりのない友人は知らない人が多いのではと思い、私自身のSNSに投稿したところ、「知れてよかった!」というお声をたくさんいただきましたので、第二弾として、病院の自家発電について書きたいと思います。

第二弾:病院の自家発電編

2018年は日本各地で災害が発生し、停電した地域も多くありました。
あなた自身やご家族が、病院に入院している期間に停電が発生する可能性もあります。
人工呼吸器を装着している病棟を例に紹介します。

大規模停電が起きると、現場はどうなっているの?

停電発生→自家発電稼働

停電が発生し、すぐに復旧しないため、自動的に自家発電が稼働しました。
ひとまず、最低限必要な医療機器は自家発電で問題なく稼働し、患者とスタッフにも異常が生じていないことが確認されました。
しかし、全道的に停電が発生し、復旧の目処が立っていないという情報が入ってきました。
電気が不可欠な病院では、自家発電設備がある場合が多いですが、自家発電が必ず問題なく稼働するとは限りません。
今回の地震では、建物に問題は生じなかったため、自家発電設備や配管に被害がなかったのですが、地震での停電の場合は、自家発電装置があっても自家発電装置を使用できないという事態が発生する可能性もあります。
そして、自家発電を維持するためには、燃料が必要となります。
今回の大規模停電では、燃料の備蓄量が少なかったことが反省点として挙げられている病院が多数ありました。
燃料不足により、自家発電が停止した病院もニュースで報道されていましたね。
自家発電装置があっても、自家発電を維持するために必要な燃料を、電気が普及するまで供給し続けなければいけないのです。

職員全員に出勤するよう連絡が回る

病棟スタッフが全員出勤になった最大の理由は、
万が一、自家発電が止まったら、人工呼吸器を装着している患者全員を、手動のジャクソンリース換気にしなければいけないので、
医者・看護師全員が出勤したとしても、1人のスタッフが2〜4人の患者を手動換気しなければいけない状況だったからです。
自家発電装置のタンクには燃料が満タンにされていたのですが、備蓄が少なかったのです。
そして、災害時には燃料供給してもらうために提携しているガソリンスタンドがあったのですが、停電により汲み上げられないということで、供給してもらえないという状況になっていました。
よって、万が一、自家発電が止まったら、人工呼吸器を装着している患者全員の呼吸は、スタッフによる手動換気にせざるをえない可能性があったのです。
電気が復旧するまで、もしくは自家発電の燃料が手に入るまで、永遠に。
呼吸は、数分止まっただけで、人は死にます。
自家発電停止は、人工呼吸器を装着している患者にとっては、命に直結するのです。

自家発電の燃料調達

自家発電の燃料は、軽油の場合が多いようです。
軽油が手に入らず、灯油を混ぜても自家発電は維持できるということがわかり、自家発電が停止するよりは灯油を混ぜて維持したほうが良いということで、灯油を調達してきました。
これによって、電気が復旧するまで自家発電を維持することができました。
自家発電が停止してしまった病院のニュースでは、「燃料求む」という紙を掲げている映像が放送されていましたが、「燃料」とは何を指しているのかわからないですよね。
私の情報収集の範囲内ですが、軽油、または灯油も使えるかもしれない、とのことでした。

自家発電の燃料調達が難しくなると、どうなるのか

まだ寒くはない時期の大停電でしたが、冬の停電に備えて、灯油ストーブの購入を考えている人や購入した人が多いでしょう。
地震や停電が発生すると、ガソリンスタンドに長蛇の列ができる光景は、全国的に見られますよね。
ガソリン確保が難しかったように、寒い時期に停電したら、灯油でも同じことが起きるでしょう。
一般家庭が軽油・灯油を買い漁ると、病院の自家発電用の燃料も手に入りにくくなり、自家発電が止まる可能性が高くなります!!
自家発電が止まる前に、
電気が絶対必要な患者を大学病院等に搬送する準備をし始めると思いますが、受け入れる側も限度があります。
私が勤める病院にも、受け入れ要請が何件か来ていましたが、自家発電がいつ停止するかわからない状況で受け入れることはできない状態でした。
在宅で電気が必要な治療をしている人からも、充電させてもらえないかと連絡が入ったりしていましたが、入院患者の人工呼吸器も電気が危ういので、充電だけならば札幌市が発電機を設置するような場所にお願いしたほうが良いと思いますと返答するしかない状態でした。

病院で起きていることは、他人事じゃない!

今回は、朝方3時の地震だったため、火災もけが人も少なかったと思います。
不幸中の幸いです。
もし、調理している人が多い時間だったら、、、
もし、車が多く走っている時間だったら、、、
もし、登校時間だったら、、、
もし、地下鉄が動いている時間だったら、、、
もし、工事現場で作業している時間だったら、、、
もし、老人が歩いている時間だったら、、、
病院に搬送された人は、ものすごい人数だったと予想されます。

もしかしたら、自分自身や、身の回りの人も、病院に搬送されていたかもしれません。
もちろん、自身と身近な人の安全も大切です。
が、
病院の電気が止まると、電気が止まったことによる雑務にも人員がとられて、患者やケガ人のケアに当たる人数が削減されることにもなってしまうのです。
被災しながら勤務にあたる病院スタッフは、交代で休憩しながら動き続けるのです。

寒い時期に長時間停電が発生したら

一般的な節電対策・寒さ対策にもなりますが、なるべく数家庭が一箇所に集まって暖をとると、各家庭の燃料節約になります。
そして、余剰分は自家発電装置を稼働させているお近くの病院に寄付していただけると、自家発電の稼働時間を延長できます!!
人が集まると、
心も体も温まると思いますし、
第三者の命を救うことにも、実は貢献しているのです。

おわりに

今回の大規模停電は、まさかの日勤リーダーの日だったので、停電中のリーダー業務に多少ビビりましたが、
リーダーだったからこそ、院長・師長・事務員の言動が見えて、気付くことも多かったです。
友人の中には、
「病院の設計に関わることがあるので、災害時の燃料対策は今一度見直そうと思った。」
「透析が必要な父親が、施設から病院へ移動しようとなったが、受け入れ先がなかなか決まらなくてやきもきしたが、そういう事情もあるということを知れて納得した。」
「燃料供給というボランティアもあるのか!」(積極的に復興ボランティアに参加する方)
など、
今回の私の気付きが役に立ってくれそうな人がいました。
災害はいつどこで発生するかわからないことなので、頭の片隅にでも置いてもらえると嬉しいです。

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