「酸化」が「体のサビ」と言われているのに対して、「糖化」は「体のコゲ」と言われています。
「糖化」とは?
食事などで摂取した糖質は、大事なエネルギー源として使われます。
これを、「糖化」と呼びます。
余った糖質が体内のたんぱく質と結びつくことによってつくられる「AGEs(糖化最終生成物)」は、老化促進物質とも呼ばれています。
食後30分~1時間で、食事から摂取した糖質を分解・吸収されるので、AGEsは、食後1時間に生成されやすいです。
「糖化」すると、どうなるの?
ホットケーキの表面が茶色くこんがりするのは、ホットケーキの卵や牛乳のたんぱく質と砂糖が結びついて変性した結果です。
メイラード反応と言います。
この、ホットケーキの表面で起きている反応が、人間の体内でも起こると想像してみてください。
肌や髪の毛
やっかいなのが、このAGEsは、近くにあるコラーゲン繊維と架橋をつくってしまい、肌のハリが失われてしまいます。
これがしわの要因の一つになっているのです。
また、AGEsが皮膚の細胞に沈着すると、シミやくすみなり、肌の透明感が失われてしまいますし、髪の毛のたんぱく質が糖化するとパサついたりします。
血管
糖化によって生成されるAGEsは、褐色で硬いのが特徴です。
血管を構成しているたんぱく質に余分な糖質が結びついて「糖化」するので、糖化した組織は硬くなっていきます。
動脈硬化が進行すると、心筋梗塞、大動脈解離、大動脈瘤、脳梗塞、脳出血などの心疾患・血管関連疾患のリスクが高くなります。
腎臓
腎臓は、体内の老廃物を運んできた血液をろ過して、必要なものは再吸収し、不要なものは尿として排泄する役割をしています。
その他
骨粗鬆症、白内障、関節症、性機能障害、不妊、アルツハイマーなども、「糖化」が引き起こしているとも言われていますね。
「抗糖化」
1.食事内容の工夫
「糖化」は、余った糖質が体内のたんぱく質と結びつくので、糖質の過剰摂取を避けましょう。
糖質は、エネルギー源として重要な栄養素なので、過度な糖質制限をしてはいけません。
GI値を意識して、食品を選んでみるとよいです。
ブドウ糖の血糖上昇率を100とした場合の、血糖値の上昇する割合を数値化したもの。
GI値が高い食品ほど血糖値が急上昇しやすく、GI値が低い食品ほど血糖値が緩やかに上昇します。
「GI値」と検索すると、GI値の表がすぐに見つかるので、食材を買う時にGI値の低い食品を意識して選んでみてください。
でも、たまには高GI値の物も食べたくなりますよね。
糖質と炭水化物の認識があいまいの方も多いのですが、「炭水化物=糖質+食物繊維」です。
食物繊維の多い炭水化物は、血糖値の上昇も緩やかになります。
もしも、GI値の高い食品を摂取するのであれば、水溶性食物繊維を多く含む食品をよく噛んで食べてからGI値の高い食品を摂取したり、水溶性食物繊維のサプリメントを摂取してからGI値の高い食品を摂取するなど、食物繊維も活用することも、工夫の一つです。
サプリメントを選ぶ際は、メーカーがどんな理念でサプリメント作りをしているのか、どんな基準を通過しているのかなど、ちゃんと身体のためになるサプリメントを選びましょう。
サプリメントを選ぶときのポイント
酸化が糖化を促進させてしまうので、抗酸化作用の高い栄養素を多く含む食品を摂取することも、糖化促進予防につながります。
抗酸化作用が高い「ファイトケミカルス」とは
2.運動
血糖値が最も上昇する食後1時間に、10分程度の筋肉トレーニング、もしくは30分以上のウォーキングをすると、食事で摂取した糖質をエネルギーとして使用できるので、余らせてしまう分を減らせます。
注意点は、運動中や運動後に糖質を多く含む飲料水を飲んでしまうと、血糖値が急上昇してしまい、運動の努力も水の泡。
運動後の水分摂取は、糖質を多く含まないものを選びましょう。
3.糖化反応を抑制する素材を補給する
ローマンカモミール、セイヨウサンザシ、ドクダミ茶などのハーブティーや、モロヘイヤ、サニーレタス、米なすなど、スーパーで購入できる野菜の中にも糖化抑制作用の強いものもあります。
ハーブティーは、葉の部分に糖化抑制作用が認められているので、オーガニックな茶葉を煮出すと良いですね。
ペットボトル飲料になっているものは、茎を使用している物も多いので、私は選ばないかな。
AGEsになってしまったら・・・
体内で生成されてしまったAGEsを分解・排泄する方法は、解明されていないそうです。
つまり、現段階では、いかに糖化を進めないための予防策をとるしかないのです。
未来のあなたの身体をつくるのは、これまであなたが食べたり飲んだりしてきた物や、今日から食べたり飲んだりした物です。
知らないと対策の取りようもないですが、今、「糖化」ということを知ったうえで、どのように未来のあなたの身体をつくるか、考える機会になってもらえたらと思います。
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